初体験!京ことば2006年11月04日 00時25分24秒

久々に…本番も、教室もない一日。

12月のドラマティックライブを演出してくださるダンサー、
“こかチちかこ”さんの公演を鑑賞。

こかチさんの美しさに圧倒され、
ときどき出てくるしょうがいを持った子たちのリズム感や、
体のキレのよさに驚いたり、…あっという間の一時間でした。




その前の時間を利用して…、

初体験!京ことばをレッスンしてきました~。

先生は、私の講座の生徒さん。

5日に迫った揚輝荘での「源氏物語」の原文の朗読に、
やはり「京言葉」が一番しっくりくるだろうと考えまして。

例によって、まわりは「また無茶なことを~!」とあきれています。

ふだん標準アクセントに導く役目の私ですが、
では、自分の苦手とするアクセントに、
どこまで意識的に切り替えられるか。

いわば、自分への挑戦です。

おもしろいです!
実におもしろい!
はまりそうです!


もちろんネイティブ京都の方が聴いたら、
「あかんわ!」と怒こらはるかもしれへんけど、
なんか…いうたら…人が変わったようにおかしいわ。



いわば、音楽。
メロディを変えると違う世界が広がってくる。

江戸っ子の両親に育てられた中途半端な名古屋っ子の私が、
ようやくひとり旅立つ気持ちです。



厳正なる抽選に当たり、入場をゆるされたあなた。
私のいとおかしな京都弁、どうぞおたのしみに!

揚輝荘の月2006年11月05日 21時56分43秒

揚輝荘庭園の琵琶湖に見立てた池に架かる橋の上で…
というわけで、朝からとっぷりと日が暮れるまで、

一日、揚輝荘におりました。

ひとりの時間もたくさんいただき、

ゆったりと過ごすことができ、感謝の気持ちです。

お琴の片山万季ちゃんの演奏も素晴らしく、

朗読を盛り上げてくれました。


チャレンジした京ことばも「それなりに」評価していただき、

幸せ気分で家路につきました。

帰り道にはもちろん、まんまるお月様…。


出会いとチャンスを、ありがとう。




須磨には

いとど心づくしの秋風に

海は少し遠けれど

行平の中納言の

関ふき超ゆる

と言ひけむ浦波

夜よるは

げにいと近こう聞こえて

またなく

あはれなるものは

かかるところの

秋なりけり……

「木」の朗読2006年11月08日 19時22分48秒

今度の土曜日。
11月11日です。
午後3時からです。

愛知県稲沢市に出来た
新しい図書館で
開館記念イベントとして
「大人のための絵本ライブ」をやります。


佐野洋子さんの「おぼえていろよ 大きな木」
レオ・バスカーリオの「葉っぱのフレディ」
ほかに、木をうたった詩の朗読もします。

共演は、エレクトーンの大塚勝美さん。

入場無料です。
どなた様のご来場も大歓迎です。
椅子席、ちゃ-んとあります~!


稲沢市は「植木」の街と言うことで、
「木」にまつわる絵本や詩を集めたのですが、
それが、みーんなダイレクトに「命」につながって…

今日、通してリハーサルをしたら…
なんだか命の発する力に、倒れそうになってしまいました。



ポストに葉書が一枚。
「とつぜん伴侶を亡くしてしまった…」と、
か細い文字が隅っこに小さく。
大学時代の友からの喪中の葉書。

さまざまな思いが私の中を駆けめぐる日。



「フレディ」(作:'99年ごろ)

光あふれ
輝く季節
生まれくる命よ

そよぐ風
まぶしい日差し
月や星と話した

季節は駆け足
めぐりめぐる命よ

すべての命は
永久(とわ)の旅人

しあわせでした
あなたと逢えて
いつかまた逢えるね
きっと……


詩:やお / 曲:坂野嘉彦さん

瀬戸市・芸術家横町2006年11月10日 22時55分06秒

今日は午前中に、名古屋と隣接したO市の小学校PTAの講演会。

そのあと、念願の瀬戸市へ向かう。
念願の…なんていうと「どんな遠くの街なの?」と思われそうですけど、
実はとっても近い街なのです。
でも、なかなか行けなかった街。
「商店街も元気になっていい感じだよ~!」とうわさを聞くばかりでした。

瀬戸名物「うなぎ」をひとりで豪勢に食べて、
まずは、一度行きたかった「窯のひろば」へ。

ちらっとのぞくと…。
あれ~~!大介君!
二年ほど前に私の朗読教室に通っていた大介くんがいるじゃない!
彼もびっくりしていた。
彼も「ひろば」へは久しぶりに来たとのことでした。
大工さんをしていた大介くんはボランティアで、
ひろばのカウンターや椅子やテーブルを作っていたのでした。

もちろんこのひろばのヌシの耕平さんもいた。
耕平さんがいるのははじめから分かっていたけど…、
やっぱり久しぶりに会うので、楽しい!
美味しい珈琲を飲んで、
近所に住む大正生まれのおばちゃんと昔話に盛り上がったあと、
今日の目的地「パルティせと」へ。
もちろん元生徒の大介くんも一緒です。

ここで相良玉水さんの、ストリート琴ライブが毎週開かれています。
なんと今日は50回目のライブ!
雨にも負けず、風にも負けず、雪にも、夏の暑さにも…、
毎週金曜日にお琴のライブを続けていたのです。

私たちとほぼ同時にアメリカからのお客様が来て、
リクエストに応え「さくら」を弾き終わった玉水さんから、
「芸術家横町へ行かない?」と誘われました。

なにを隠そう「芸術家横町」は、
玉水さんの日記にたびたび登場していて、
心から行ってみたかった場所なのでした。
すぐさまライブ会場を片づけて芸術家横町へ。
もちろん大介くんも一緒です。瀬戸で会ったが百年目、です。
ふと考えたら玉水さんの演奏、
「さくら」一曲しか聴いていないのよねえ…。いいのかなあ…。

で、芸術家横町は…。
私の筆力ではとてもお伝えできないほどの「感動」を私にくれました。

古い工場。
残された製品。
壊れつつある建物。
むかしむかし職人さんたちが暮らした宿舎や作業場。
室内なのか外なのかよく分からない空間。
建物の中にツタが絡み合い曇りガラス越しの陽の光。
あるものをそのまま活かそうという愛がこもった場所。
その中で若きゲイジツカたちが一心に土や鉄や木に向かい合っています。


玉水さん、ありがとうございました!

マヌケな私は、50回ライブなのに、
「100回記念!」なーんてカードに記してしまいましたが、
100回までやるわよ~!って笑って許してくれて、ありがとう。


多分、また行くことになるだろうな…芸術家横町…。

ドラマティックライブ ようやく始動2006年11月14日 17時56分21秒

今朝は、NHKラジオで、
先日たずねた「芸術家横丁」のお話をしました。
思い出すたびに胸がきゅんとするような…、
初恋のような感覚をくれた「芸術家横丁」です。



午後からは、
12月17日の「ドラマティックライブ」の打ち合わせでした。

舞台の形が、意表をついたものになりそうです。
客席に入るやいなや、お客様は戸惑う…でしょう。

曲は、昔の歌謡曲あり、シャンソンあり、演歌あり…。
それをストーリーでつなげていって一つの世界に創り上げます。

あとは私の台本待ちということで…、
一週間で書き上げることを約束しました。

台本
衣装
照明
の順番でこれからがんばって進めていきます。

ぜったいおもしろい。うん、絶対。

みなさん~かならず来てくださいね!

「生み」のくるしみ…混沌2006年11月18日 21時13分57秒

12月17日ドラマティックライブ。


うたう歌もほぼ全部出そろって、

あとは台本。


ああ…

それがなかなか書けない。

イメージはあるんだけど。

頭の中…カオス…です。




美口啓子さんも、書き下ろしで作曲してくれると、

私の「詩」を待っていてくれる。


衣装の荻野智美さんも、演出のこかチちかこさんも、

照明の稲垣清行さんも、舞台の吉戸俊祐くんも待っていてくれる。




今日は、ピアノのささはらなおみさんと

パーカッション&マリンバの林敬子さんと音を出してみて…、

ますます気持ちは高まってきた。

ああ、それなのに、なかなか形にならない。


この時期が一番つらいの。

端で見たら、なんにもせずにボーっとして、

まるでサボっているみたい。

ホント、なーんにも出てこないから、ね。



カオス。

混沌。


早くこの雲間から光が差し込まないかなあ…。

自分で決めたタイムリミットは近づいている。



※フツーのコンサートならこの苦しみはありません。
 フツーじゃないことをしようと思っているので、苦しいんです。
 やがて突き抜けたときの喜びのための苦しみです。
 「おもしろさ」も突き抜けたいので、もうひと仕事、
 がんばっています。

見えなくなって見えるもの2006年11月22日 00時34分31秒

先週の日曜日、目の見えない人たちの中で講座をやった。

官能朗読CD「花の歌」制作でかかわっている
名古屋盲人情報文化センターからのお話だ。

老若男女の受講生は、杖をたよりに集まってきた。
全盲の人。重度の弱視の人。
先天的に視力のない人。
人生半ばで失明した人。

視覚障害者といっても、それぞれだ。

ただ、中途失明者の苦しみには、みな一様なものを感じた。
今まで見えたものが見えない。
当たり前のように見ていたすべての色も形も、記憶の彼方に去ってゆく。

あまりの絶望に何度も死を試みた、と。
現在進行形で「死にたい」と言う人もいた。



でも、それをくぐり抜けてきた人たちの言葉には力がある。

「見えなくなってはじめて分かったことがいっぱいあるんですよ。」

「見えなくなって、よかったと思います。」


負け惜しみでなくこう話す人の言葉は心に響く。



ふと気づけば、

私もずっと目をつぶって話していた。


目を閉じて自分の声と言葉に心を向けると、

気づかなかった私の一面が、ほんの少し見えて来る気がした。

ひとり旅2006年11月29日 10時06分07秒

ひとり旅の衝動に駆られたのは、十九歳のときでした。

夜行列車に揺られ、たどり着いたのは黒部峡谷でした。

雨に煙る山は、まるで水墨画でした。

肌寒い空気が寂しさを増し、宿の電灯も薄暗く感じました。

今思えば、なにかそんな風景ばかりが残っています。



ひさしぶりに、三日ほど一人で出かけてきます。

今度は…車で、信州まで。

どうも今度も雨みたい…。でもその方がしっくりきます。

ちいさな美術館に行ったり…、あとはひたすらボーっとしてきます。

もちろん今度のライブの台本を持って行き、セリフを覚えたりもします。



ずっと、旅とは縁のない生活、

ましてひとり旅は「あのとき」以来ですから、内心ドキドキもあります。

実は、密かに進めていた夏からの計画なのです。



では、行ってきます!