愚かな民衆として2015年01月05日 15時20分04秒

  天国はない
  ただ空があるだけ
  国境もない
  ただ地球があるだけ

一年の最初に立つステージで、
忌野清志郎ヴァージョンの「イマジン」を歌います。
ずっと歌いたかったこの歌詞。
日本語で歌いたかったこの歌。

  夢かも知れない
  でもその夢を見てるのは
  一人だけじゃない
  世界中にいるのさ

戦後70年に思いをはせながら、
一日一日を
自らが愚かな民衆のひとりであることを忘れず、
それを客観視できる目と耳を持つことを怠らず、
私らしく言霊を響かせることを
年の初めに誓います!

自作の詩2015年01月30日 11時11分23秒

昨日は、自由空間八田で、
村上信夫さんとの朗読会でした。
休憩なし、2時間を超える長丁場でしたが、
旧知の村上さんの軽妙なトークのおかげで、
いつもは話すことのないエピソードなども交え、
懐かしく、楽しく、時に涙しながらの、
上質な時間をいただきました。

その中で、お互いに自作の詩を読むコーナーがありました。
私は誰の目にも耳にも触れていない詩を二編読みました。

勇気を持って披露したのですが、
思いがけず同世代の女性から
強い支持をいただいた詩がありました。

今はもう30才近くなった長男。
小さなころよく迷子になってはお巡りさんに保護されました。
保育園のおたより帳を読み返すと、
かなり個性的すぎる息子に手を焼く先生の姿が。
「今日はこうでした。こんなことがありました。
お友だちにこんなことをして、いやがられていました」etc,etc…
毎日綴られる内容に、
(もちろん先生は単なる報告をしてくださっているだけなのですが)
少なからず傷つき、どうしたものか…悩んでいたころがありました。

そして、18才の春、息子は自分で選んだ町の大学へ進みました。
そんなころの1シーンを切りとった詩です。
初めて公開いたします。


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「君を見送る」     白樺八靑

ベランダから
小指の爪くらいにちいさくなった
君を見送る

見送る人間がいることに
気づくすべもなく
ギターケースをしょって
駅までの道を
すこし背中をかがめて歩く
細長い君の後ろ姿

こうして
君の背中を見送るときが
とてもせつない時間になったよ

いつのまにか
かあさんより
ずっと大きな背中なのに
ほら
よちよち歩きで迷子になった
あのころの君が
重なって見える

まともなごはん食べてる?
たくさん友だちできた?
無茶なお酒飲んでない?
朝はちゃんと起きてるの?

いろいろ聞きたいことはあるけれど
質問するのはやめにした

そのかわり
というとなんだけど
たくさんごはんを炊いたよ

黙々と食べて
大の字で寝て

そして今朝
君はまた
あの町へ帰ってゆく
君が選んだあの町へ

もう少しゆっくりしていけばいいのに……

その言葉も飲み込んで
ベランダから見送る

君の後ろ姿
街路樹に隠れて
見えなくなった