再会2015年07月27日 11時08分37秒

あと3日で幕を開ける俳優館の公演「群青~雲流れる果てに」

私は台本を読んだときに、ドキッとしました。

赤沢という特攻隊員が、
実在した穴沢利夫さんをモデルにしていると気づいたからです。

今からさかのぼること30年以上前。
私は、ある資料で穴沢さんの婚約者のことを知り、
彼女を主役にすえた一人芝居を作りたいと思いました。

芝居の師匠ふじたあさや先生に手紙を書き、電話で相談しました。
当時は、20代半ばのヒヨッコ役者が一人芝居をするなどまずありえないし、
そもそも、誰でも一人芝居が出来るような時代ではありませんでした。

師匠は、「その題材は、ディテールまできちっと作らないと、うるさい人がいっぱいいるよ。そもそも目立つことをやれば、たたかれるだろう。その覚悟があれば応援しよう」と言われ、
怯んだ私は、その構想を誰にも話さないまま封印していました。


それが30年の歳月を経て、出演することになったお芝居の中で、
穴沢さんに再会したのです。


それだけでも、奇跡に近いと、ひとり心の中で叫んでいました。

それが、なんとこのお芝居の中で、
穴沢さんが婚約者にあてて書いた最後の手紙の一部を読むことになりました。

私の中にずっ生き続けていた穴沢さんが、
ようやく私の前へ現れた。
そんなふうに感じています。

戦後70年。
私にとって苦しみの夏ではありますが、
何物にも代えられないたくさんのものを受け取っています。


7月30日(木)19時
31日(金)14時/19時
8月1日(土)14時/19時
2日(日)11時/15時
芸文地下小ホール/一般券:3,000円
※7月31日の14時のチケットはソールドアウトとなりました。